起こった事件にはきっと何らかの意味があるのだろうということ
タイでは過去に様々な事件があったし、喜ばしくない内容もたくさんある。
スクムヴィットロードでバンセンに向かう途中で玉突き事故の球になったり(http://pattaya-ri.com/post-349/)、あとは、バンコクにてバイクで走行中、若い暴走族の連中に肩を引っ張られて無理矢理引き倒されたこともあった。この時はかなりショックで、タイに住み続けることが「果たしてどーなのか?」と悩んだりもした。
そう。実は今回の件も事故だったのだが、個人的には結構責任を感じていて、正直ブログの記事にするのが嫌だったのでここまで引っ張ってしまった。
しかし、起きたのは事実であるし、パタヤ情報サイトの運営者としていつかはここで発表しなくてはならないと思ってもいた。それはもちろん、注意喚起も含めたある種の情報として必要だろうという意味で。
思えば前振りがあった。
記憶が定かではないけれど確か前日の夜、食事を終えてレストランの駐車場から出ようとした時、音がしたので振り返ってみるとH氏がバイクで転倒していた。どうやら砂地で砂を踏んで前輪が滑ったようだ。転倒と言っても、いわゆる「立ちゴケ」のような状態でバイクだけが倒れた程度ではあったが。
今回H氏は、自動二輪の免許をわざわざ取得してタイに乗り込んだワケで、日本にいる間慣れる為に先輩のY氏がバイクをあげて、「練習しておくのだぞ」と、事前のミーティングで何度か話していた。今後パタヤに行った時に役に立つからという理由で取った日本では必要のないバイクの免許である。
バイクを運転していれば分かるが、少しでもハンドルを切った状態で前輪のブレーキを強くかけるとスリップして倒れる危険性が高いので、慣れていればそのことは常に意識している。よーするに、前輪のブレーキを強く掛けるのならハンドルは真っ直ぐにしなくてはならないのだ。そんなことはもちろん常識なのだが、実際にコケたということはその意識が足りないということに他ならない。
だからその後、Y氏と私はH氏に口をすっぱくしてその話をした。しかし、頭では分かっていても咄嗟の時に実行できるかどうかは別問題なのかもしれない。そこの部分の認識が甘かった、というのが私の反省点だ。
その時はミラーが割れたもののバイクの傷はほぼ目立たなかったので、翌日朝にミラーだけ新品に交換。金額は工賃込みで200THBだった。想像していた金額の半分以下だったので「ホッ」としたのも束の間だった。
行き先をよく分かっていない2台を従えて走行するのはなかなか難しく気を遣うので、分かりやすい地点を指定してバイクの運転に慣れているY氏に先に行ってもらう方が私的にはありがたいからなるべくそうしていたけれど、まったく知らないエリアに行く場合は私が先導するしかなかった。そして、その時はジョムティエンエリアのレストランに向かっていた為、私が先頭だった。
前方から車が来ることのないT字路の交差点で、青信号になって右折したらうしろでガチャンと音がする。一旦道路脇に寄ってバイクを停めてから駆けつけると、どうやらバイタクを避けてH氏が転倒した様子。バイタクのにーちゃんが心配して助け起こしてくれたみたいだった。大きな怪我がなさそうと判断してにーちゃんは行ってしまう。実際、ぶつかってはいなくて単独事故なのでまあ仕方ない。
バイクのエンジンはかかるのでとりあえず避難して、H氏に状態を尋ねると「メチャメチャ腕が痛い」と言う。転倒する時どうやら肘のあたりから地面に落ちたみたいだ。フツーに考えれば掌をつくはずなので不思議に思ったが、「痛い」と言う以上は病院に行かねばなるまい。ケータイで調べたところ一番近い大きな病院はスクムヴィットロード沿いにある某「ジョムティエンホスピタル」で、所要時間は十数分。運転できるか聞いたら「なんとか大丈夫」とのことなので、そのままバイク3台でゆっくり運転で病院に向かった。
某「バンコクホスピタル」の支店というか提携先なので(問題ないだろう)と思って行ってみたものの、「保険を使うならここではダメだから」と冷たいことを言われてしまう。更に20分くらい掛かるが、本店に行くしかない。今思えばソンテウをチャーターして行けば良かったかもしれないけれど、その時はそこまで考えられなかった。つまり、怪我が悪化してしまう可能性を追えなかったのだ。
結果的にH氏の腕は骨折していた。
しかも複雑骨折で、レントゲン写真をみたら相当ヒドい折れ方だった。H氏は運転中どれだけ痛かったことか。ただ、本人はおそらく興奮状態だっただろうから、ひょっとしたらあまり痛みを感じていなかったのかもしれない。それにしても、だ。
私以外の二人は翌日の夜の便で日本に帰国する予定だったから、我々はうろたえた。
「先生。どうなりますか?」
「そーですね。今から保険会社に連絡して、許可が出次第手術します。早ければ明日の午後にはできるでしょう」
「手術?そんなにヒドいですか?」
「まあねえ。ボルトを入れないといけないですから」
「明日帰国予定なんですけど、夜便で日本に帰れますか?」
「いやいやとんでもない!手術後は感染症などがないかしばらく様子を見る必要があるので、日本に帰れるのはおそらく4〜5日後ですね」
「えーっ!マヂっすか!?」
「マヂっす」
「……」
担当してくれた三十代半ばくらいの医師はとても感じが良くて、分かりやすい英語とタイ語で対応してくれた。看護師達は冷たいもので、「はいこっち来て」「はい脱いで」「はいここにサイン」「もう食堂終わったからアンタ達何か食べるもの買って来てあげて」といった感じで、サクサクした対応だった。ま、当たり前か。
「ちなみにおいくらくらいですか?」
「手術費用は2〜30万バーツくらいかな?あと、入院費は安い部屋でも一泊3万バーツね」
「えーっ!マヂっすか!?」
「マヂっす」
「……」
「バンコク病院は高い」と、噂では聞いていたものの驚いた。保険に入っていなかったら大変なことになるところだった。やはり保険は大切なのだな、と、全員しみじみと思ったのだった。
Y氏はその日が最後の夜という事で、H氏を一人病院に残しとりあえず近場で食事をしながら二人で反省会。「我々にも行き届かない点はあったものの、今ここでくよくよしていても仕方ない」という結論に達し、夜の街に繰り出していつものようにテキーラ祭りで盛り上がる。
しかし、やはりどーしてもH氏のことが気になってしまい、心の底から楽しみ切れなかったというのが本音ではある。
翌日、レンタルバイクを返却しに行ってバイク屋のおじさんと交渉の上修理費用3000THBで話をつけ、最後にマッサージをしてから、
帰国するY氏を見送った。
その後、病院から「手術することが決まった」という連絡が入り、結果的には無事成功。丸一日経過を見た後にめでたく退院となった。
バンコクホスピタルの日本人駐在員Kさんはとても感じの良い方で、通訳として不安であろうH氏のサポート役をしっかりと担ってくれた。お陰で私は途中一度見舞いに行っただけで、後は最後に帰国時の見送りでアテンドは終了。片腕を曲げたまま固定して吊っている事もあって、病院側の計らいで帰国便はビジネスクラスを用意してくれた。
最終的にかかった費用は計150万円越え(*全額保険でカヴァー)。H氏の腕にはまだボルトが埋め込まれたままだ(*まもなく取り出す予定)。
*参考の為手術後の写真を載せるので、見たくない人はスクロールしないで下さい。
こういった事件が起きる度、個人的には「これには何らかの意味があるはず」と捉え、その後の人生に活かせるよう教訓として自分の中で消化するようにしているのだけれど、今回は自分のことではないだけになんとなくモヤモヤしたままで、正直未だに消化しきれていない。
ま、そのうち何らかの答えが
出るのだろうと思っているが。
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