先輩の古い女友達が頭を悩ませる状況とは
それにしてもまあ、訪れたことのない異国の地において自分のやっているビジネスができないものか?はたまた通用するであろうか?という発想が思い浮かぶのはスゴいことだと思う。
海外旅行中にその国の生活や文化に触れて(ああ、こんなモノすらないのならば日本から持ってくれば売れまくるぞ!)とか(日本で流行しているアレはココでも間違いなくイケる!)などと思い付いたりするのとはワケが違う。
もちろん、ある程度の成功を遂げた上で「さらに攻めなくては」という気持ちが根本にあって「海外でもイケる!」と考えるのはよ〜く分かる。あらゆる分野において日本の技術力は本当に素晴らしいし、研究に研究を重ね探求し尽くしたひとつの完成型がもしあるのだとすれば、これをもっと広めるべきだ、と考えるのはごく自然なことなのかもしれない。
しかし、日本国内で隅々までやり尽した末の決断、例えば各都道府県全てに店舗を出してもうこれ以上増やすのは厳しいという状況なら分かるがそういうことでもなさそうであり、だとすれば、日本という国自体の将来がよほど不安なのだろうか。
ヴェトナムでご一緒した某自動車鈑金塗装会社社長の場合は、「自動ブレーキや自動運転の普及が予想される近未来において自動車事故が減り業界の仕事量全体が先細る」というある種明確な不安を抱えて海外進出を考えたと言う。なるほどごもっともな理由で分かりやすいし、タイやヴェトナムなどこれからどんどん車が増えて当然事故も増えるだろう国で新たに挑戦するのはヒジョーに夢があって意義があるように感じる。未来予想図が描きやすいケースである。
では、美容業界はどうなのか。
たしかに世界共通の永遠のテーマである「美しくありたい」という気持ちに国境はないのかもしれない。しかし、そこには文化や生活習慣における大きな差があり、ルールマナー法律といった壁が立ちはだかる。
タイは民主主義国家だからまだマシかもしれないけれど、それでも現在の政権のように「オレ様がルールだ!」とばかりに新たな法律をヌルッと可決したりする不安は常にあるのだ。
もし仮に、接着剤が目に入って失明するといった事故が相次いだりすれば「まつエク全面禁止!」みたいな話になる可能性は容易に想像がつく。人の体に直接何かを施すのであれば、そーいった不安を抱え続けるのは宿命とも言えよう。
また、大木日本と同じくタイは少子高齢化が深刻な社会問題のひとつであるし、景気も今のところさほど悪くないように表面的には見えるとしても実情はそうでもなさそうな気配。ここ数年で落ち込む可能性も充分あり、バーツがいつまでも強いとは限らない。
日本の将来が不安なように、タイの未来だって安泰とは言い難いのである。
古い女友達は「中国はもう既に広がっているからシンガポールとタイを検討している」とおっしゃっていた。組む相手としては中華系よりもタイ人の方がまだ良いのかもしれない(中華系タイ人も多いが)。海外進出となれば現地ビジネスパートナーとの関係性がキモだからね。
いずれにせよ、安易な気持ちで来るのはよした方がいい。異国でビジネスなんてそんなに甘いモノではないのだ。恥ずかしながら失敗経験者だから尚更そう思う。
ただ、そうやって「挑戦しよう」という気持ちはとても素晴らしいとも思うからこそ対応が難しいのだ。
ご本人自身がただ単に「海外でチャレンジしてみたい!」と思っていらっしゃるのか、それとも抱えている従業員とその家族の将来の生活保障の為に「売上げを伸ばし続けていかなくては」といった理由なのか。電話で話した段階ではよく分からなかった。
もし後者ならば、国内で地道に店舗や教室を増やした方が良いというのが正直な意見だ。規模にもよるが海外進出はリスクが高過ぎる。
前者であるならば、まずは来てみて講習会などにご参加されては如何ですか?という話だろう。私のような素人がいくら調べたところでタイの美容業界の将来性など分かるはずもないし、先方だってそんな答えを期待しているワケでもあるまいし。
そんなことを思いつつ、まずは第一回目の調査報告をすることとなる。
現場に赴きもせず机上でただひたすら考えただけではあるけれど、ごく基本的な情報は仕入れたし、これ以上踏み込むとボランティアのレヴェルでは済まなくなりそうだ。そーなるととてもマズいことになるので、その辺りを最初にハッキリさせておかなくてはなるまい。
いやしかし何となく気が重いなあ。このモヤモヤした感じはいったいどーしたものだ。イヤな予感が一向に収まらないぞ。
何かが引っ掛かるのだ。
得体の知れない何かが。
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