2892人目(多分)の町民となって思うこと
ひょっとすると勇み足なのかもしれない。
結局、もう一つの何かコレといった条件が見付からないまま住民票を移転し、晴れて町民となってしまった。
なってしまった、という表現からお察しの通り心の中にはまだモヤモヤとした霞がかかっている。理由はいくつかあるがもっとも大きいのはそもそも歓迎されているのか?という疑問からくるモノ。
「おめでとうございます!」「パン!パン!パン!」と派手にクラッカーが鳴り
、ハワイに到着した時のように美女から首にレイを掛けられるワケではもちろんあるまい。しかし、「Uターン」支援だ「Iターン」支援だと人口が減り行く離島に外から人を呼びたいのならばもう少し良いムードがあってもバチは当たらないのではないか。
まあ、お役所というのは全国共通でそーいう雰囲気なのだろう、とも思う。私が逆の立場ならばまずは満面の笑顔で粗品進呈、島に移住する方にはこんな特典やあんなメリットがありますのでどうぞご利用下さい!てな対応をするだろうし、上司ならば担当の課員全員にそう指示する。ただ、役場は民間企業とは違い、訪ねて来る人をお客様扱いはしないし「いらっしゃいませ」と迎えるワケでもない。その違いに私ごときがとやかく言うのは筋違いというものだ。
この島に本格的に住むことになるならば少しでも快適に生活したいので、一人暮らしをする為のリサーチをしたところ民間の単身用アパートなどは皆無で町営住宅のみのこと。空きが出れば応募を受付け、給与の低さなどから算出する点数の高い順番に入居する権利が与えられ場合によっては抽選になるらしい。前回は6月前々回は5月と、ちょいちょい出て行く人がいるようなのでまったく期待できないことはないが問題は給料だな。転職の場合は前の職場の給与が基準になるそうなのでそれならば低さには自信があるぞ。
もし仮に町営住宅に空室が出て見事に居住権を勝ち取りその部屋がそこまで古くなければ、あとはTVとDVDレコーダーを手に入れWOWOWの契約さえしてしまえばプライヴェートでは問題なく暮らせると思う。それよりも何よりも問題は「この島で私が何をするか」である。
ハノイでこの話を聞いた時、最初に浮かんだイメージは離島の将来の為に観光客や島民を増やす手伝いをして島が盛り上がるという感じだった。が、実際に現地に来てみて外部から来た人間にはそれらを求められていないことに気付く。これは、約十年前に勢い込んでタイに移住した時とまったく同じだ。「バンコクを盛り上げてやる!」的な奢った考え方は見事に打ち砕かれた。地元名古屋で失敗した悔しさを晴らせるものならば、という甘い想いはたった三ヶ月でアスファルトから立ち上る蜃気楼のようにはかなく消えたのだった。
今回はそこまで入れ込んではいなかったけれど、島に渡ってから一週間程で「あ、これは相当に時間が掛かるわ」と悟った。理由は商工会及び銀行などの民間企業と肝心の町及び町民の方々の意識の温度差だ。また、しばらく経つと隣りの島海士町とも随分差があるようだと分かってきて少し残念に思った。
まあ、それは言うまい。
とにかく、余所者がやって来て島で暮らす以上は目立たぬようにおとなしくしているのが一番。もちろん本来の仕事に関しては全ての町民の為に精一杯頑張るワケだが、それ以外のことについては少しづつ、少〜しづつじわじわと行くしかないだろう。
そーなった場合、比較的気の短い私が果たしてそれに耐えられるか。やりがいを感じ始める頃には既に定年退職する年齢なのでは?
ハノイ進出で失敗し、今後十数年仕事をするにあたって「もう夢は見ない」と消極的な私の傍らで、アクティヴで前向きなM社長は「そんなことを言わずもっと楽しく仕事をしましょうよ!」と誘ってくれた。それに応えるべく島にやって来て、できる限りやれることはやりたいと思ってはいる。
しかし、正直自信がない。
これならばどこか知らない町でレンタルヴィデオショップのアルバイトでもした方が良いのではないか、と悩む日々だ。
町民最短記録を更新するか否か。
そもそも言葉としておかしいと感じる「Iターン」(ターンちゃうやろ)ならぬ「Vターン」で速攻で帰ってしまおうか。
梅雨明けの爽やかな空と違い思考は
どこまでもネガティヴなのであった。
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島に永住して人生の全てを捧げる覚悟はありますよね?
タイとベトナムには絶対に行かないと誓ってください。
次の冬さえ我慢すれば、島の外のことは忘れます。
人生のすべてを捧げる?いやいやいや。申し訳ないですがまだそんな覚悟はできていません。タイにもヴェトナムにも行きますよ。会社の支社がハノイにありますし、タイにはコンドミニアムもあるので。
確かに冬は厳しいでしょうね。元々寒さに弱いのでかなりビビってます。