公園の池の廻りを何周するのが潮時なのだろうか
2016/03/22
「え?30才なの?マヂで!?」
最初に会った時は学生の体操服のようなジャージ姿だったからてっきり二十歳そこそこだと思っていたし、口紅はおろか眉の処理さえ一切せずの完全ドスッピンの彼女は色が白く肌がキレイで、近くで見てもとても三十才には見えない。しかし、バッグから出した身分証には確かに1986年生まれと書いてある。
田舎のクワンビン県からハノイに出てきてまだ三ヶ月。その割にはなかなか日本語が上手いN嬢はいつも行くカフェで声を掛けて来た。
「あなたはにほんじんですか?」「おなまえはなんですか?」
日本語学校で勉強中であり、練習したくてしょーがない彼(女)らにとってもちろんネイティヴスピーカーは格好の標的であり、ハノイでは街をあまりフラフラしていないし、特に会社のあるコーザイエリアはオフィス街だが日本人ワーカーが少ないのだ。
顔、身なりや持ち物、ファッションがおそらく典型的日本人なのか、私はすぐバレてしまい皆から好奇の目で見られる。一応ちゃんとした格好をしていれば変態であることなど彼らに分かろうはずもなく、女子も無警戒で接触してくるのだった。
友達と三人でお茶していたN嬢は近くの学校に所属しているらしく、営業も兼ねて名刺を渡したらその日の夜にひらがなのショートメールが来た。
結果、初めてまともにゆっくり休めた昨日の夕方、彼女に誘われて公園で散歩デートをして来たのである。
初めての休日に素人ヴェトナムガールと初デート?となれば成績優秀に思われるかもしれぬが、実際問題先方は日本語の練習をしたいだけ。では、何故デートと書くかと言えばこっちが完全にその気だからであり、今まで接触して来た数々の女子達は皆仕事関係者である為まったく手出しができない中、唯一の部外者が彼女。しかも、ルックスは充分許容範囲なのであるから。
タイでもこーいうことはよくあったけれど、警戒してか最初は必ず友達を一緒に連れて来るし、時間は一切守らず会うまでに一苦労したりする。しかし彼女は単独であり、公園で散歩とは言え独身男性と一対一で会うことについて不安はないのか?実際こっちはヤる気満々なんですけど。
ただ、いくらカレシがいないとは言え田舎から出て来たばかりの初心なコをいきなり手篭めにしても良いものか。いや、年齢は三十だ。初心かどーかなど分かるものか。
素人ヴェトナムガールの扱い方がまったく分からない私は、同僚のL君にインタヴュウしてみた。
「かくかくしかじかでどーのこーのなんだけどさ」
「ああ。そんなのすぐにヤっちゃっていいですよ。にかいめからオッケーです」。
おいおい。ホントかよ!?
ちなみにL君は32才で子持ちだが独身。カノジョらしき人物と同棲しているクセに私には「いもうといもうと」と紹介する。一週間に必ず8回はセックスするというなかなかのタフガイであり、私と会ってから既に一度自分が会社に紹介した新人(けっこう可愛い)に速攻で手を出して(*既に4回ヤった)社長に怒られていた。
まあ、そんな彼が言うのだからアテにはならないが、先の事実を知って(ああ。ヴェトナム女子は案外簡単に落とせるのだな)と、意外な気がした。
思うに、立場が上の人間が下の人間に対して絶対的な権力を持つのではなかろうか。確かにズルいけれど、そーいう雰囲気がこの国にはある。のし上がった者勝ち。いい車乗ってクラクションガンガン鳴らした者勝ち。交差点では強気に突っ込んだ者勝ち。とにかく力がモノを言うのでは?
顔はごくフツーで、ムチムチというかやや太目のN嬢は運動の為毎日近所のコーザイ公園を散歩すると言う。日本語で話しながら池の廻りをゆっくり三周した後ベンチに並んで座る。日が暮れてなかなか良い雰囲気であり、日曜日の公園は当然のごとくカップルが多い。
「きょうはなにをしましたか?」「かいものにいきました」
「Nさんはなにをしましたか?」「わたしはえいがをみにいきました」
おいコラ。何故私を映画に誘わない!
そう。よーするに彼女にとって私はあくまでも日本語の練習台でしかない。
しかも権力といった意味ではあくまでもほぼ対等なんだよなあ。
五月には研修生として日本に行くことが決まっているというN嬢。
日本語が上手くなったとしたならその分の見返りはいただきます。
某「uma」という家具店は某IKEAの元スタッフが企画しているらしい。
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