うまく描けない未来予想図と苦労と葡萄の相関関係
2016/12/17
怖い。ものすごくコワイのである。
「明日は明日の風が吹く」「人生コレすなわち行き当たりばったり」てな感じでもうかれこれ五十年もの間ずーっとお気楽に生きてきた私にとって、遠近問わず「未来」とはハッキリしたカタチのないふわ〜っとしたモノでしかなく、当然のごとく美しい予想図はとても描けず、中長期ヴィジョンやらビジネス的事業計画なんて最も苦手な分野であった。
それでも一応十年間は有限会社の代表を勤めていたのだからとんでもない話であり、赤字続きで結果法人税をほとんど収められなかったのもある意味当たり前なのかもしれない。
ちなみに座右の銘は「人生二度なし」。
「もし明日死んでも昨日コレをしておけば良かったと悔いることのないように」をモットーに日々暮らして来た。
それなのに。あーそれなのにそれなのに。
この年になった今まさかこんな状況になろうとは。
もちろんこの街には「残り少ない人生、一旗あげてやろうか」といった密かな野望を胸に抱いて移住したワケで、日本人としてヴェトナムに大いなるビジネスチャンスの匂いを嗅ぎ付けたからなのに何の文句があろうか。
いや、別に文句があるのではない。
ただ、怖い。ひたすらに恐ろしい。
近未来、例えば来月の今頃はどーなっているのか?半年後はいったい??
新ビジネスがいよいよスタートした。
「満を持して」という感じなのは、準備から何から全てにおいて自ら関わっているからなのかもしれない。
要した時間は果てしない。いったいどれくらいかかったのだろう?と振り返ってみても話が進み出したのは遥か遠い昔のことのように思える。
すったもんだの揉め事が一段落して、本格的な準備に入ったのは六月の終わり頃だっただろうか。
当然のごとくそこに辿り着くまでに大変な苦労をしたのだけれども、まあ大体においては話し合いであり、日本人同士の意思疎通及び現地ヴェトナム人との擦り合わせ交渉具体的数字うんぬんかんぬん。現地駐在員で間に入ったカタチとなった私は個人的に頭が禿げる思いで実際に禿げたがそんなのはまだ序の口の序の口だった。
今このブログを遡ってみても、八月は調子に乗って五回も更新しているからまだまだそこまで忙しくはなかったはず。がしかし、精神に異常をきたさぬようせめてこの場で、と、愚痴を吐き出しストレスを発散しているのは文章からも充分に伝わってくる。
例の火事が起きたのは確か七月の終わりだったし、その頃には用地も決まって工事がスタートしていたのだから、やはり本格的に苦労し始めたのは九月だったのか。
は?
何とたった三ヶ月前のことではないか。まるで夢を見ているような気分だ。
オープンした店に次々と訪れるハノイ在住の日本人諸氏とそんな話題になった時、「準備期間は用地探し含めて半年程度ですね」と答える度に結構驚かれる。現実問題、日本側出資者のM社長が初めてハノイに来たのが六月だから考えてみれば確かにスゴく早かったのかもしれない。
職種にもよるけれど、現地調査から何年も掛かって未だにライセンスすら下りないという大手企業さんだって何社もあるのだからね。
たまたま恵まれていたのは現地パートナーの在日期間が長く日本人とのビジネスに慣れていた件と、彼らがハノイで持っている人脈がかなり多岐に渡っている件だと思うけれど、ひょっとして日本側が中小企業だったということが案外大きかったのかもしれない。小廻りが利くというか決断が早いというか。何をするにもスピードが求められるこの国のことだから。そのことは何度かこの場に書いても来たしね。
というワケで、完全なる箝口令が敷かれていたので今まではまったく明かせなかったが、実は先週いよいよ新しく作った我々の会社で車関連の工場をオープンした。結構な規模でありおそらくはヴェトナム初の日本式ザーヴィスのショップということで多少は注目を集めたし話題にもなったはず。新聞やTVでも報道されたしね。
十一月頭には同社で既に日本食レストランもオープンしており、ここ数ヶ月は本当にめまぐるしい日々だったしまともな休みも一切取れていない。ついこの間まで無職だったこの私が朝から晩まで働きづめなのだから自分でもちょっとビックリだが、驚いている場合でもないのはこれからもっともっと忙しくなることが目に見えているからなのだ。
そんな中、救いを求めるようにテト直前から六日間の日程でハノイ→バンコクのエアチケットを予約したものの、ちゃんと行けるかどうか定かではない。
ところで、いったい何がコワイのか?
自らの体や精神が壊れること?
いやいや、そーではない。
コワイのはこれから先の苦労である。
バラしてしまうとこれはフランチャイズビジネスであり、手を上げている人々が既に何人もいて、2017年の目標は〇〇店!?おいおいマヂかよ!
フランチャイズの仕組みがメチャメチャ難しいことくらい私でも知っているが、それら、彼らをこれから一気に束ねていくのだ。当然のごとく相手は一癖も二癖もある手強いヴェトナム人達。
で、実質的に誰がやるのか?
……。
もちろん私はあくまでも歯車のひとつであり、役割分担という言葉もある中でこれだけビビっているのは今まで実際にやってきた生々しさを肌で感じているからだ。
海外で新しく何かを始めることがどれほど大変なのかはやったことのある人にしかおそらく分かるまい。何もかも日本とは勝手が違うのだから。加えて国からいぢめられるのは必至となれば。
苦労というモノが、もしもおいしい食べ物だとしたらいくらでも受け入れるのに。
例えば葡萄だったら。
ふふふふふふふふふ。
アカンアカン。
どうやら頭がおかしくなりかけてるわ。
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Comment
すごいパワーですね。
まだ、お若そうですし健康にさえ注意していれば何がどうなろうと、命までは盗られないですね。
私など、60歳を期に、隠遁生活に入り、あっと間に70になりました。
隠遁生活でもストレスはありますよ。何もしないストレスですね。
並な話ですが、人は、何もしないよりより、何かしていたほうがいいですね。
動いていれば、ストレス解消の道も開けますが、じっとしていれば、何の解決策も見つかりません(笑)。
ご拝読ありがとうございます。
私も51歳になりもう若くはありませんが、まだ十年くらいは頑張れるだろうと思い経済成長に期待できるハノイに来ました。
タイのバンコクとパタヤで七年ほど無職生活だった為、おっしゃるような「なにもしないストレス」の意味がなんとなく分かります。その頃に比べれば今のストレスはマシなのかもしれないですね。
確かに命までは取られないでしょうから、気持ち的には死ぬ気で頑張ってできる限りやってみようと思います。
今後共よろしくお願いします。