パタヤの想い出③:寂しがらない屋が求める相手
2022/08/10
人間を大きく二つに分ける場合に「寂しがり屋か否か」というカテゴリーがあって、前者と後者では日常生活、いや人生そのものがかなり異なるのではなかろうかと思う。誰かと一緒に居たいか、もしくは独りで居たいか。
例えば食事をする時、独りでは寂しい、もしくはつまらない味気ないと感じる人の方が多いのかもしれないが、私はまったくそうではなく自分のタイミングで好きな物を好きなだけ食べたい。何をするにせよ個人行動を好み、他人には興味がなく付き合いを煩わしいと思う。少数派だとしても、私のようなタイプだっておそらく存在するはずである。
とは言え、四六時中独りでいるのもなんなのでたまには誰かと会話くらいしたい。都合のいい勝手な言い分だけれどそんな感じ。タイに居るのだし言葉も上達したいからタイ人と。できれば男子よりは女子。というワケで、日本人の知り合いが皆無のパタヤに引っ越してからは、一緒に居ても気を遣わない相手を何人か、例えば「ディスコ友達」「飲み友達」「セフレ」「タイ語の先生」など、できれば目的別に欲しいと考えた。まあ、それはあくまでも理想であって現実的にはヒジョーに難しい。試しに半ば無理矢理作ってみた「ギック」とは案の定長続きせず、やはり色恋や金銭的利害関係が絡めば当然そーなるであろうことは過去の経験から分かりきっていた。
そんな中、偶然知り合ったのがM嬢だった。
そもそも、初老(四十代後半)でルックス並以下の変態無職貧乏人が何を贅沢ぬかしているのだ!というご意見がもっともであり、当時の私にあったのは唯一たっぷりな時間だけ。仮に若くてイケメンならばタイガールの都合のいい友達など速攻で見つかるに決まっており、そんな「ないない尽くし」の私でさえも、時間をかけて気長にウロウロしていれば出逢えるチャンスがなくもないということが言いたい。
別に特別なことをするのではない。ただひたすら55バーやバービアを巡り巡って、パッと見で気に入ったコを見付けたら声を掛けドリンクをご馳走し拙いタイ語で日常会話に織り混ぜて「アーユータウライ(22223222、年いくつ)?」「ユーティニーナーンタウライ(113322223222ここにどれくらいいる)?」「パックユーナイ(221123、どこに住んでる)?」「ユーガップクライ(1111222、誰と一緒に)?」「マージャークナイ(2211123、出身地はどこ)?」「ミールークマイ(2232223、子供いる)?」という6つの重要な質問をするだけ。これを全て矢継ぎ早に聞いたら会話が5分で終わってしまうので、あくまでもタイミングを見計らってであるが。
ソイダイアモンドの某55バーで踊っていたM嬢の答えは「18」「ホックドゥアン」「ソイカオタロー」「プアン」「ブリラム」「マイミー」。合格である。
当時私は無職のくせに何故かケータイ番号入りの名刺を持っていて、気に入ったコにだけ渡していた。会ったその日に連れ出したり女の子の番号を聞いて連絡するのではなく、こちらに興味がある相手からの連絡待ち。その方がうまくいくケースが多かった。彼女からは知り合った翌日に電話があって、結果的には過去にできたタイガールの友達の中で一番長く続いたのだった。
M嬢はスタイルもよくフツーに可愛いコだったし一体何故私に興味を持ったのかは分からないけれど、タイミングが良かったことだけは間違いない。ニッポン人のカレシと別れたばかりで傷心中の彼女は「もう本気の恋愛はしたくない」と相当堪えた様子であり、気晴らしに色恋無しで都合の良い男子友達が欲しかったのだろう。タイ語が少し話せて車を持っている暇人のオジサン。ただ、三十代半ばとサバを読んでいた私のことを父親というよりは兄貴のように慕ってくれた。私は私で、背伸びした十代のガキのクセに妙に大人っぽい言動や行動が気に入ったし、55嬢にしては珍しく最初からワリカンで金銭的な利害関係をまったく求めてこない部分もありがたかった。それよりも何よりもひたすら明るいM嬢と一緒に居るととても楽しく過ごせたから、ほぼ毎日のように呼び出されても断ることなくどこにでも付き合ったものだ。
当時、彼女と同居していたP嬢と、その恋人のトム(レズ のタチ)がまた面白いコ達で、しょっちゅう喧嘩したり仲直りしたりを繰り返していた。レズカップルとそこまで仲良くなったのも初めての経験で、とにかくとても興味深かった。暇さえあれば部屋で4人で朝まで賭けトランプをして、ゴロ寝してから昼ご飯を食べに行くという生活が引っ越しするまで続く。そう。結局そのカップルが別れることになるまで……。
M嬢と長く続いた理由はコミュニケーションの点もあった。彼女の言葉はとても聞きやすく、「分からなければちゃんと伝えろ」と言ってもくれたので、割と深い会話ができたのは大きい。イサーン語やパーサーワイルン(22122232、若者言葉)もたくさん教わり、タイ語の先生でもあったのだ。また、ディスコ好きの彼女にはローカルディスコの存在をたくさん教えてもらった。今は亡き伝説の店「Face Club」も、名前が変わる前から常連だったM嬢がスタッフ連中と友達だったからこそ私も通うことに問題がなかったのだ。でなければ、あんな危ない場所にニッポン人単独ではなかなかいけない。また、アルコールにあまり強くなかったのも良かった。何しろ酔っ払って暴れるタイガールは面倒見きれないから。
はずみで一度だけ寝たのだけれど、男としては見られなかった。つまり、セフレとして以外はほぼ万能の友達だった彼女とは今でもSNSで繋がっている。現在はカラオケ店勤務で、どうやら元気な様子だ。
細かい想い出を辿ると長くなるので、それはまた別の機会にしよう。
いずれにせよ、彼女のおかげで私のパタヤライフは大きく変わった。
こんな独りよがりでワガママなただの変態でもそーいう出逢いがあるというのが、彼の地の魅力の一つだというお話である。
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次回はパタヤの思い出④ですね!!
出会いと別れ、40代と10代のギックな関係面白かったです。
2022年今年のタイに行く予定はありますか?
コメントありがとうございます。
今年中にはタイに戻りたいですが、現状は不透明ですね。
煩わしい手続きが無ければすぐにでも行きたいのですが。