変人変態にすらあるニッポン人の「お・も・て・な・し」の心
「コレさえなきゃなあ……」
基本、飲み代だけならばちっとも高くない。
某「Blend285」の1Lボトルが990THB、700mlボトルが700THBでいずれもミキサーフリイなのである。例えばクラブやパブ等にはフツーそんな安ウィスキイなど置いていないし、某「Face club」のよーなローカルディスコでさえコンビニで買って行ったとしても(持ち込み料100THB)同等かそれ以上払うから、仮に三人で行ってワリカンにすれば安いものだ。しかし、問題は一時間ごとにステージで繰り広げられる「お披露目タイム」であり、指名料の200THB。マネージャーもしくはチーフがMCとなり、マイク片手に各テーブルを練り歩き、客一人一人に相当しつこく指名を迫るのだから参ってしまう。
そう。「カラオケ」、と言っても女子が待機している方ぢゃなく働くのは男子の、いわゆる「ホストクラブ」的飲み屋さんであり、その世界的に有名となったニッポンの代名詞は今や東南アジア地区において「女子又は男子もしくはおナベの接客を伴う飲食店」全般を指すワケで、店によっては「カラオケ」など一切ないことすらある。
パタヤ地区において水商売の女子(特に55嬢)に「遊びに行こう」と誘われ、黙ってついて行けばほぼ「カラオケボーイ」。こっちは「クラブ」に行きたくても、彼女らはとにかくその手の店が大好きなのだからまあしょーがない。
ただ、ニッポンの「ホスト」とは様相が異なり、彼らの仕事はほとんど「飲む」だけ。つまり「甘いセリフ」や「話を聞いてあげる」など女性を気分良くさせることはさておき、「あっち向いてホイ」的ゲームの勝ち負けでひたすらグラスを煽り続け、客のボトルを空にするのに専念するのだ。指名されればテーブルのボトルをラッパ飲み。その気持ち良いほどの飲みっぷりに「素敵ぃ〜♪」と女子達は癒されるのだろうか。だとしたら何と単純な。
そーいう店に行くと、歓迎されもしないが放置されることもなく若い男のコが次々と寄って来て乾杯を繰り返す。客がカラオケを歌う店もあればDJが選曲して踊る店もある。後者の場合特に近所のテーブルの客、つまり女子と接触することも多く、彼女らと話していると愚痴を聞く羽目になったりする。いつの間にかこっちが「ホスト」役になっているワケで「おいおいお前ら仕事せんかい!」と文句を言いたくなる。実際問題それは結構しんどい役目で、ホスト達がやたらとウィスキイを飲む理由が分かって来る。つまりその方がよほどラクなのだ。
数日前に行ったその時も、隣りに居た独りで来ていた客の相手をしていた。おそらく面倒なのだろうか従業員が寄り付かず寂しそうだったので仕方なくだが、「指名料ももらえないのに何故オレが」と思いつつも一緒に飲んであげるニッポン人の「お・も・て・な・し」。以前一度だけ客の一人を連れて帰って成り行き上寝たことがある。つまり「枕営業」なのだが、ギャラは一バーツももらえなかった。まったくもってどーいう了見なのか。
そんなワケで、基本そんなに楽しくもないのだが、オモロいこともある。その手の店はたくさんあるがどこも結構客が入っており、行けばまず誰か一人くらいは見知った顔がある。つまり、あまり遊びに行かない私ですら「あのコ見たことあるぞ」と思い出す55嬢がいて、相手がこっちを知っていた場合とてもいや〜な顔をされる。何とも言えぬ気まずい表情になるので、見ているとなかなか楽しい。それはそーだろう。せっかく日頃の鬱憤をはらす為に遊びに来ているのに、そんな姿を自分の店の客に見られて居心地良いはずがなく、気持ちも一気に冷めるというものだ。優しい私は敢えて声も掛けず知らないフリをしてやる。これも一種の「お・も・て・な・し」と言える。
だからたまには55嬢と「カラオケボーイ」に行くのも楽しいかもしれないけれど、通常彼女らはあまり一緒に行きたがらないかも。私が一緒に行くのは純粋に友達のコで「色恋」とかなくただ単にスポンサーとして同伴するだけなのだ。但し最初の飲み代だけは出すが「指名料はお前ら勝手に払えよ」と突き放す。そんなのに付き合っていたらお金がいくらあっても足りない。それよりも本当は某「Face club」のようなローカルディスコに行った方が個人的には楽しめるし。
ただ、大変なのは彼女らの店終わりまで待たなければならない件。パタヤの「55」の場合午前四時終了の店が多く、その手の店が混むのは当然その後なのだ。バービアでも三時くらいまではやっている為それから付き合えば当然朝であり、「お腹減った〜」となって朝がゆを食べに付き合う羽目になる。つまりこんな状況だ。
昨日ごはんを食べている時、S氏とそーいう話をしたら「よく付き合えるねえ。オレなら途中で帰るわ」と言っていた。なるほど。確かにそーだろう。私の場合純粋に「クラブ」(特にローカル)が好きだし、大音量の中若いコ達が「キャーキャー」黄色い声をあげながら「クネクネ」と踊っている場面を見ているだけで楽しいが、フツーの人はそんなところに何時間も居られまい。よーするに変人だし変態なのだ。
しかし、その変態にすら
「お・も・て・な・し」の心があることが、
ニッポン人の良いところなのかもしれない。
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